「今年は焼き芋がなかなか買えない」「スーパーのさつまいも、ちょっと高くない?」──そんな声を聞くようになった2026年の秋。原因をたどると、全国のさつまいもの約4割を作る関東(茨城・千葉)で、この夏から秋にかけて続いた豪雨と長雨に行き着きます。

東京の大田市場では、9月下旬からさつまいもの入荷が前年の約7割に減り、卸値は前年より1割ほど高くなっています。お芋好きとして知っておきたい「今年の芋事情」を、公的なデータと市場の数字で整理しました。

収穫直前の畑を、雨が3回襲った

さつまいもの収穫は9月から本格化します。その直前から最中にかけて、千葉県を中心に大雨が3回、さらに長雨が重なりました。

時期出来事千葉県の農林水産業被害
8月13〜14日令和8年8月千葉豪雨(線状降水帯、22市町に大雨特別警報)約82.8億円
9月6〜7日大雨約1.96億円
9月中旬長雨(東京で22日連続の雨)―
9月20〜21日台風25号(2日間で400〜550mm級の雨)約62億円(10月6日時点)

千葉県の公表資料によると、このうちサツマイモの冠水被害は3回の合計で約13.6ha、約7,800万円。香取市、多古町、成田市、富里市、八街市、山武市などの産地で被害が出ています。

数字以上に響いているのが長雨です。土がぬかるむと芋を掘れず、掘っても出荷前の乾燥や選別が進みません。千葉の農家さんがテレビの取材に「植えた約4万本のうち3〜4割はダメかもしれない」と話すなど、現場の打撃は大きくなっています。

東京の市場では入荷が前年の約7割に

都内のスーパーや小売店に野菜を届ける大田市場。ここに並ぶさつまいもの多くは千葉産・茨城産です。その入荷量が、9月下旬からはっきり減っています。

ほぼ毎日、入荷が前年の平均を下回っています。いちばん少なかった9月25日は55トンで、前年の半分ほどでした。

卸値は東京で約1割、大阪で約2割高い

量が減れば、値段は上がります。市場での卸値(お店が仕入れる値段)は、9月下旬から前年を上回るようになりました。

市場・時期入荷の中心前年同時期と比べて
東京・大田市場(10月9〜10日)千葉・茨城高値で1割弱、安値で1割ほど高い
大阪・本場市場(9月25〜26日)徳島・鹿児島2割ほど高い

面白いのは、関東の芋が中心の東京より、徳島や鹿児島の芋が中心の大阪のほうが上がり幅が大きいこと。関東産が足りない分、西日本や九州の芋に注文が集まっていると考えられます。

ちなみに8月の大田市場の平均卸値は1kgあたり271円で、前年より11%安いくらいでした。値上がりは、新芋が出回り始めた9月下旬からの動きです。

なぜ関東の不足が、全国に響くの?

さつまいもといえば九州のイメージがあるかもしれませんが、実は関東が一大産地。茨城と千葉だけで全国の約4割を作っています。

しかも、鹿児島の芋は約6割が焼酎用、2割がでん粉用。宮崎も約7割が焼酎用です。一方、千葉は青果用(そのまま食べる芋)が中心で、茨城も青果用や干し芋などの加工用が中心(農水省)。つまり「焼き芋やスーパーの生芋」に限れば、関東の存在感はグラフ以上に大きく、関東で足りない分を他の産地が補う形になっています。

これからどうなる?

天気が落ち着けば、掘れずに残っていた芋が遅れて出てくるので、入荷は少しずつ戻る見込みです。実際、10月10日の大田市場の入荷は108トンと、前年並みを上回る日も出てきました。

一方で心配なのが、水に浸かった芋の貯蔵です。さつまいもは収穫後に貯蔵して熟成させ、冬から春にかけて出荷していきます。冠水した芋は傷みやすく、年明け以降の出回りに影響が出る可能性もあります(公的な見通しはまだ出ていません)。

お芋好きにできることは、いつものお店やいつもの農家さんの芋を、今年も変わらず楽しむこと。値段が少し上がっていても、その裏には雨の中で畑と向き合う生産者さんがいます。今年の芋活は、いつもより少しだけ生産者さんに思いをはせながら楽しんでみてください。

農家のひとこと

病気や天候でさつまいもの市場価格が大きく変動する年が近年多くなっています。影響のない地域は値段が上がり喜ぶ一方、被害に遭ってる農家は苦しんでいます。こんなときこそ、コミュニティの力で支え合わないといけないと思います!!

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